佐藤圭司写真展「C U B A」

 

お蔭さまで、佐藤圭司写真展『C U B A』は会期を無事終了致しました。本展示にて、2018年のRED Photo Galleryの展示はすべて終了となります。

ご来場くださいました皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。また、年末の折、ご来場できず気に掛けて頂いた方々にもお礼申し上げます。

本展示は、2018年の夏、ハバナ、バラデロを旅した時に撮影したものです。

キューバは社会主義の国なので、「すべての人が平等」というのが根底にあるので、物品や食べ物にバラエティがありません。どのレストランでも同じような食べ物を提供します。しかし、近年一部経済開放がされたため、外国からの物資も入っています。これらの多くは海外からの観光客に提供されますが、一部裕福層も恩恵に与っているようです。一般の市民の月収は3500円程度と言われていますが、外国人相手の商売をしている人は10万円くらい稼ぐ人もいるそうです。

キューバで思い出に残る味は人民ロンとコーヒー、フローズンダイキリです。
「ロン」とはラム酒のことで、有名なハバナクラブはほとんど輸出用で一般の人は人民ロンと呼ばれる量り売りのラム酒を飲んでいます。これが抜群に美味くてくせになります。
コーヒーはキューバの特産物の一つで、味が濃くてとても美味しい豆です。現地ではこれにロンを入れて飲むのが一般的です。これもまた絶品でした。
かの文豪ヘミングウェイが愛して止まなかったというダイキリ、パパダイキリと呼ばれています。所謂フローズンダイキリのことなんですが、これがまた絶品です。
この3つを飲むためだけに再びキューバを訪れてもいいくらいです。というか、きっともう一度行きます。

キューバの話を始めると、話が尽きませんがどこかバーなどでお会いした時のネタに取っておきます。

今年も残すところわずかになりました。皆さん、良いお年をお迎えください。

「迷子のお知らせ」の知らせ 平 当麻

この正月にパンツを撮ると決めました。靴下でもヒールでも構わなかったのですが、僕のフェティッシュはやはりパンティなのでした。金曜の夜、国道沿いのランジェリー・ショップで5~6枚のパンツを仕入れ、土曜に撮影、日曜に現像する、というローテーションです。
二ヶ月ほどでもう飽き々々して仕舞いましたが、半年と少し、データをラボに出す期限まで淡々と撮影を続けました。写経なんぞを続けるとこんな気持ちになるのだろうか、と思いました。

ところで僕の暮らす町では防災無線放送がいまも活用されています。週末の夕刻、それが鳴り響くと空気が少しこわばります。

―こちらは、防災こうのすです。

鴻巣警察署から迷い人のお尋ねをいたします。

本日午前11時45分頃から、鴻巣市滝馬室地内において77歳の男性が行方不明となっています。

特徴は身長が170センチ位で細身。

服装は緑色の帽子、チェックのシャツ、青色ベスト、眼鏡を着用しています。

お心当たりの方は、鴻巣警察署までご連絡ください。

こちらは、防災こうのすです―

翌日、また放送が流れます。

―こちらは防災こうのすです。

鴻巣警察署からお知らせいたします。

昨日、迷い人のお尋ねをしていた男性につきましては無事発見されました。

ご協力ありがとうございました。

こちらは防災こうのすです―

発見の知らせのない時、寝床に入ってふと、あの人はどうなってしまったのだろう、と思います。これは現代のブルーズだな、とも感じます。

とはいえ、写真とこのはなしは何の関係もありません。年に二回展示を行うとして、死ぬまでのタイトルはもうストックされています。展示のたびに順繰りそれを充ててゆくだけです。

今回は生活の雑感と展示のタイトルがたまたま一致した、ということです。

Tomoya Matsuura「life beside you」

Tomoya Matsuura “life beside you” RED Photo Gallery
2018.5.21(Mon)~2018.6.3(Sun)
Tomoya Matsuuraによるライブパフォーマンス  2018.6.3(Sun)17:00~17:30
http://photogallery.red/schedule/2018/20180521/exhibition.php

Tomoya Matsuuraは、国内外を舞台とした自身の音楽活動と並行してアーティストなどへの楽曲提供、プロデュースを行ってきたミュージシャンであり、自然や宇宙の神秘をテーマとしたサウンド作品、インスタレーションの制作を手がけてきたアーティストである。2014年には走査型電子顕微鏡(SEM)と出会い、ミクロの世界の美を描写する作品の制作に取り組んできた。Tomoya MatsuuraのSEM作品は、すでにメディアに掲載され海外からも関心が寄せられているが、今回の展示は東京における初めての写真展である。

SEMはナノメートル(ナノ=10億分の1)の分解能でサンプル表面を可視化する電子顕微鏡でありながら、その特徴として浮き出るような立体感を持つイメージが得られる。Tomoya Matsuuraの作品では、SEMの解像度で微細な構造を描写しつつミリメートル(ミリ=千分の1)オーダーの被写体のイメージを再現している。モチーフは身近にあって見過ごされている枯れた植物であるが、漆黒の背景から生き生きと浮かびあがり新たな命が吹き込まれたように感じられる。
生物におけるミクロな構造を精細に可視化することは、マクロな生命現象などの発現の謎を解く鍵となるが、それと同時にオープンエンドに謎があらわれ、さらなる”センス・オブ・ワンダー”を惹起する。今回の展示とライブパフォーマンスでは、彼の手によるSEM作品とサウンドとがあいまって、見る者を生命の持つ驚異の世界に引き込むことであろう。

西村勇人|RED Photo Gallery

おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち

去年の夏、都築響一さんとじっくり話をする機会があり、氏の昨今の仕事あれやこれやをうかがった中で、僕の心を打ち抜いたのがこのキャバレー・ダンサーたちのブロマイド写真でした。

そこには奇妙なイメージがうち捨てられたまま定着し、忘れ去られたがゆえに毅然と独り立っているかのように思えました。段ボールのなかで発酵し腐敗寸前の態の昭和の裏アイドル達は、平成も終わらんとするよるべないぼくらの薄い空気を、発する瘴気でかく乱し嘲笑っているかのようです。

秋、これらの写真の展示が行われるという小さなインフォメーションを目にし、居ても立っても居られず北九州市小倉に飛びました。出不精のぼくには余程珍しいことでした。
変色し傷だらけのポストカードサイズのプリントが千枚あまり、受験用の美術教室を兼ねるという明るいギャラリーのなかで“本物”のすごさにくらくらしていました。思わず、さきにこれらの写真発見の経緯を話していた女性に話しかけました。

それから半年あまり、都築さんと、写真の発見者でこの写真のオーナーである古家さんの寛大な協力を受けながら、なんとか今回の展示を行うことがかないました。

予算とスペースの都合でプリントにいたらなかったイメージをここにあげます。

展示は折り返しに至りました。残りの会期、ぜひ足をお運び下さい。

平 原当麻