この正月にパンツを撮ると決めました。靴下でもヒールでも構わなかったのですが、僕のフェティッシュはやはりパンティなのでした。金曜の夜、国道沿いのランジェリー・ショップで5~6枚のパンツを仕入れ、土曜に撮影、日曜に現像する、というローテーションです。
二ヶ月ほどでもう飽き々々して仕舞いましたが、半年と少し、データをラボに出す期限まで淡々と撮影を続けました。写経なんぞを続けるとこんな気持ちになるのだろうか、と思いました。
ところで僕の暮らす町では防災無線放送がいまも活用されています。週末の夕刻、それが鳴り響くと空気が少しこわばります。
―こちらは、防災こうのすです。
鴻巣警察署から迷い人のお尋ねをいたします。
本日午前11時45分頃から、鴻巣市滝馬室地内において77歳の男性が行方不明となっています。
特徴は身長が170センチ位で細身。
服装は緑色の帽子、チェックのシャツ、青色ベスト、眼鏡を着用しています。
お心当たりの方は、鴻巣警察署までご連絡ください。
こちらは、防災こうのすです―
翌日、また放送が流れます。
―こちらは防災こうのすです。
鴻巣警察署からお知らせいたします。
昨日、迷い人のお尋ねをしていた男性につきましては無事発見されました。
ご協力ありがとうございました。
こちらは防災こうのすです―
発見の知らせのない時、寝床に入ってふと、あの人はどうなってしまったのだろう、と思います。これは現代のブルーズだな、とも感じます。
とはいえ、写真とこのはなしは何の関係もありません。年に二回展示を行うとして、死ぬまでのタイトルはもうストックされています。展示のたびに順繰りそれを充ててゆくだけです。
今回は生活の雑感と展示のタイトルがたまたま一致した、ということです。