おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち

去年の夏、都築響一さんとじっくり話をする機会があり、氏の昨今の仕事あれやこれやをうかがった中で、僕の心を打ち抜いたのがこのキャバレー・ダンサーたちのブロマイド写真でした。

そこには奇妙なイメージがうち捨てられたまま定着し、忘れ去られたがゆえに毅然と独り立っているかのように思えました。段ボールのなかで発酵し腐敗寸前の態の昭和の裏アイドル達は、平成も終わらんとするよるべないぼくらの薄い空気を、発する瘴気でかく乱し嘲笑っているかのようです。

秋、これらの写真の展示が行われるという小さなインフォメーションを目にし、居ても立っても居られず北九州市小倉に飛びました。出不精のぼくには余程珍しいことでした。
変色し傷だらけのポストカードサイズのプリントが千枚あまり、受験用の美術教室を兼ねるという明るいギャラリーのなかで“本物”のすごさにくらくらしていました。思わず、さきにこれらの写真発見の経緯を話していた女性に話しかけました。

それから半年あまり、都築さんと、写真の発見者でこの写真のオーナーである古家さんの寛大な協力を受けながら、なんとか今回の展示を行うことがかないました。

予算とスペースの都合でプリントにいたらなかったイメージをここにあげます。

展示は折り返しに至りました。残りの会期、ぜひ足をお運び下さい。

平 原当麻

高橋和孝写真展「こだまの領域」

3月11日まで「こだまの領域」を展示しております。

真夜中に鳥が鳴いている
その声は次第に激しさが増し
密やかに静寂を破る

これはギャラリースペースに記した文です。
ステートメントとしてはちょっと意味不明かもしれないですね。
山中で泊まっていたある真夜中、
その通りの事を体験しました。
沢音しかしない中、遠くで鳥が鳴き始めた。
もう夜明けかなと思ったら
まだ真夜中の1時過ぎ。
どんな鳥かわからないし、
実はごくありふれた事なのかもしれない。
でも、そのあと森に赴く時はいつも
鳥の声が頭に響いていたかのようでした。

静かな森の写真群からなにかを感じ取っていただけたら幸いです。

 

ギャラリー内の画像

入り口より正面の壁