saudade – Feb. 28, 2016

本日を持ちまして、鎌田篤慎 個展「saudade」は終了いたしました。

たくさんの方々にご来場いただきまして、本当にありがとうございました。

お越しいただいた皆さまからの感想もたくさん聞かせていただきました。中でも映画のような作品だというご意見が多かったです。また、先日にご紹介したsaudadeの意味や展示の意図など、今回はステートメントを用意していなかったのですが、皆さまの多くのご意見からテーマとした感情の一端が伝わったようでした。カラー写真という私の新しい試みの結果としては及第点と言えそうです。

会期中にご都合つかずお越しいただけなかった皆さまに向けて、展示していた様子を写真でお伝えいたします。

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それにしても、こう撮る写真、撮る写真が、どうしても感傷的な写真になってしまうのですが、これは生来のもので、これからもそうした写真を撮っていくのだと思います。また、次の展示に向けて写真を撮り続けて行きます。

RED Photo Gallery メンバー 鎌田篤慎

 

saudade – Feb. 19, 2016

こんばんは、ただいま「saudade」という展示をしております、鎌田です。

今回の展示のタイトルである「saudade」が日本では馴染みの薄い言葉でもありますので、言葉の紹介と共に展示の意図なども少しお話しできればと思います。

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まず「saudade」とは日本語で「郷愁」などと訳されるポルトガル語ですが、実際にはそう一言では言い表せない複雑な意味合いを持つ言葉、そして翻訳することなど出来ないとブラジル人も言う言葉のようです。

この言葉との出会いは若い頃、横浜の酒場で仲良くなったブラジル人と明らかな国民性の違いを赤ワインで埋めながら、互いに相容れない昔の甘酸っぱい思い出を語り合う中で、そのブラジル人が「サウダージだよ、こう、胸がきゅーっとなる気持ちだよ!」と表現するのを「そんなんじゃ、わかんねーよw」などと返しながらも、なんとなく昔の懐かしさと胸を締め付けるような感覚が共存するその雰囲気に共感し、どこか強く記憶に残っていました。

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そのようにして出会った「saudade」の意味合いについて、私がもっとも腑に落ちた表現をしたのは社会人類学者でもあるクロード・レヴィ=ストロースが、自らの「saudade」を説明した次の表現です。

“ある特定の場所を回想したり再訪したりしたときに、この世に永続的なものなどなにひとつなく、頼ることのできる不変の拠り所も存在しないのだ、という明白な事実によって私たちの意識が貫かれたときに感じる、あの締めつけられるような心の痛み”   by Claude Lévi-Strauss

私が感じる「saudade」とは、そうしたグラグラとした拠り所の無さ、不安にも似た心の動き、胸を締めつけられるような感覚といった、レビィ=ストロースが言うようなものに加えて、物理的、あるいは時間的、心理的に大きな距離の隔たりがあることを、またはそうした距離が少しずつ開いていく様を、仄かに突きつけられ、自覚したときの感情と言えるかもしれません。そして、あのブラジル人が話していた昔話の中の「saudade」もそうだったように思います。

以前までの反射神経で撮っていたモノクロ写真から、カラー写真を撮るという変化の中で、意識することが少なかった写真の色合いに何か自分の感情を重ねてみようと思い、自分に撮ることが出来ると確信にも近い形で思い浮かんだ感情が「saudade」でした。

そうしたこともあり、自分自身の変化を表現するカラー写真のテーマとして、今回の個展では「saudade」というタイトルをつけさせて頂きました。そして、感情をテーマにしたこともあり、自分がその時に感じた「saudade」が少しでも伝わるよう、その場、その瞬間に立ち会った感覚が残るような工夫をした写真を展示しています。

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写真とその展示という行為は寄せ集めたものから構造を紡ぎ出すという点で、奇しくもレヴィ=ストロースの「野生の思考」の文脈におけるブリコラージュそのものであり、可逆的な形で「saudade」という感情が観た人に伝われば幸いですし、そうなれば試みとしては成功と言えるかもしれません。

RED Photo Gallery メンバー 鎌田篤慎

saudade – Feb. 15, 2016

こんばんは、本日より「saudade」というタイトルで展示をしております、鎌田です。

写真をはじめてからずっとモノクロのスナップ写真で街を辻斬りのように撮り歩く日々だったのですが、RED Photo Galleryの前身であるM2 Galleryでの個展を機にカラー写真を撮り始めました。だいぶ苦労もし、時間もかかったのですが、それまでの写真を反射神経で撮るようなスタイルから、呼吸を大切にするような撮影とでも言いましょうか、あわせて自分の写真も変わったように感じています。思えばモノクロ写真に無かった色への意識が写真の幅を広げてくれたのかもしれません。

そんな私の初のカラー写真の個展となります。“saudade”をテーマに撮った写真たちです。日本ではあまり馴染みのない言葉かと思います。どういう意味かやその意図するところなどはまた後日ブログにて書かせていただこうと思いますが、狙った通りの色合いが出せました。私の“saudade”がそこに写っています。

本日、2月15日から28日までの2週間の間、新宿御苑はRED Photo Galleryで展示しております。変わる気温の変化が春の到来を予感させますが、まだまだ寒い日も続くようです。どうぞ暖かくしてお越しください。皆様にお会いできることを楽しみにしております。

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RED Photo Gallery メンバー 鎌田篤慎

遠い渚 -a distant shore-

小松 透写真展 遠い渚 -a distant shore- 開催中です。
http://photogallery.red/schedule/2016/20160201/exhibition.php

今回の作品は東日本大震災から1年後の2013年初頭から撮影を続けているシリーズです。
震災以降、津波や地震で被害のあった場所の木々を撮影を続けていますが、
2013年の初頭に南相馬で写真展に出品した際に福島県立博物館の学芸員の金澤さんに陸地にある岩山を紹介されました。
その後どうしてもそのような岩山が気になりだし木々のポートレートシリーズも継続していますが、
今回のシリーズが現在ではメインの活動となっています。
それらの岩山の呼称がわからず、スカブ(スカブコーラル)と呼んでいます。

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南相馬の鹿島にある八沢浦干拓明神岩(最近調べてやっと名称わかりました)
その名が示す通り干拓地だったのでした。

なぜ写真は四角くなければいけないのか?
なぜ今回、写真を丸くしたのかはご来場頂き、視覚体験を共有していただければと幸いです。

RED Photo Galleryと同ビル5階のTokyoLightroomでも同時開催で小松の展示 “north marine drive”を行っています。
合わせてよろしくお願いいたします。
http://tokyolightroom.com/schedule/#evt179

小松はほとんど5Fに居りますのでお気軽にお声かけください。

RED Photo Galleryメンバー 小松 透

展示は終わったが、『親馬鹿亭日乗』は続く。。。

こんばんは。秋元です。

一気に寒くなった2週間でしたが、お越しいただいた皆様、お声がけいただいた方々、在廊中には自宅の居間さながらに散らかしていても我慢して写真を観てくれた方々、ありがとうございました。
展示は終わりましたが、親馬鹿の日々は続きます。。。
またどこかで(きっと、RED Photo Galleryで)、お会いしましょう!

先ほど、無事、小松さんの『遠い渚』へとバトンタッチしました。
生活臭漂う不肖秋元の展示から一転、新宿にいながらに、潮風と船酔いを感じる不思議な展示です。寒い日が続きそうですが、是非!

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